第1章 準備期|初めての教壇での挑戦と葛藤
今振り返ると、あの頃の私は本当に「勢い」だけで走っていました。
当時はちょうど教員採用の氷河期が終わりかけたころ。
採用枠はわずか十数名。そこに二百人以上が応募していて、倍率はおよそ十二倍。
受かるはずがないと思いながらも、がむしゃらに勉強して、なんとか合格をつかみ取りました。
ようやくスタートラインに立てたと思ったのも束の間、
配属先ではすでに長年講師として勤めてきたベテラン勢がずらり。
新採よりも経験豊富な同期が多く、右も左もわからない私は、正直、肩身が狭かったです。
そして現れたのが、いわゆる“お局様”でした。
共有事項がなぜか自分だけに回ってこなかったり、相談したくても話しかける隙がなかったり。
「これも試されてるんだろうな」と感じる日々。
でも、変に反発するよりは、誠実にやるしかないと思って、できるだけ素直に動きました。
不思議なことに、ある時期からお局様の態度が少しずつ変わりました。
いつの間にか、頼られる側になっていたのです。
気づけば、仕事の相談や愚痴を聞く役になっていて、
「あの試験、合格したのかもしれない」と思ったのを覚えています。
一方で、同じ学年の同期の中には、その試験を“突破できなかった”人もいました。
彼らはいつの間にか学年を外され、雰囲気もどこか重たくなっていきました。
最終的に、お局様は早期退職。
気づけば、最初にいたメンバーのうち、学年に残ったのは私を含めてたった2人だけでした。
「よくここまでやった」と思う気持ちと、
「自分はやれる」という小さな自信が芽生えた頃。
その自信こそが、後に“過信”へと変わっていくことを、このときの私はまだ知りませんでした
――そして、次の学校への異動。
そこから、まさかの“悪夢の始まり”でした。


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